伊達いわなについて
宮城県では、栗原市をはじめ各地でイワナ養殖が行われています。
宮城県水産技術総合センター内水面水産試験場では、平成7年から宮城県固有の原種イワナを使った全雌三倍体イワナの開発に取り組み、平成14年に水産庁が定める「三倍体魚等の水産生物の利用要領」に基づく三倍体魚等の特性評価等に適合していることの確認を受けました。
その後、試験場と県内の養魚場が連携して量産体制を整え、平成25年、全雌三倍体イワナを「伊達いわな」と命名するとともに、「伊達いわな振興協議会」を設立し、平成26年に初出荷を迎えています(平成28年度の会員生産者8名、生産量は約10トン見込)。
和洋中問わず幅広い料理に使える、宮城の新たな特産品として、県内内水面養殖業の振興のため、県で普及を図っています。
全雌三倍体イワナとは
全雌三倍体イワナとは、通常のイワナが持つ2組の染色体を3組に増やす不妊化技術を施したものです。イワナは、数年間、毎年産卵しますが、産卵期である秋前後は卵に栄養がとられるため、身が美味しくなくなり、成長も止まります。一方、全雌三倍体イワナは、卵を持たないため、産卵期の成長停滞や身質低下が起こらず、2~3年で体長50cm・体重1kgほどの大型に育ち、肉質も変わらないので、周年、高品質で安定供給できます。
三倍体を作り出す技術は、温度や圧力による刺激を加えることによって染色体を増加させていますが、これは「遺伝子組換え」とは異なるものです。種なしスイカなど、植物の育種でもよく利用されているもので、安全性が確認されています。また、万一、三倍体魚が自然界に逃げ出しても、すべて繁殖能力がない雌なので、野生種と交雑して生態系を乱すこともありません。